ざわめく校内の一角、お洒落なカフェ・スペースが俺のお気に入りだった
壁一面がガラス張りで景色がよく、クラシカルなジャズがかかった素敵な場所。
当然、学生からの人気が高そうだが・・・・・・・いかんせんメニューが不味い。
濁ったようなカフェオレ、ぱさぱさのホットケーキ。こんなもんに金を払うなら家で食った方がマシだ
それに加えて、店員の無愛想なこと・・・!よって、このカフェ・スペースは常に人気(ひとけ)がない。
だから、一人になりたい時には重宝していた。
・・・・そう、一人になりたい時には
「先輩・・・・・先輩っ・・・・」
先ほどから何度も何度も呼びかけてくる煩わしい声を無視しながら、俺はスマートフォンをいじる。
呼びかけには一切答えないつもりだった。
しかし、声の主は何度も何度も声をかけてくる
「先輩・・・・先輩?・・・先輩」
大抵の人間は、何度も無視されたら心が折れて諦めてくれるものだが
声の主はどうやらそうではないらしい・・・
この「放っておいてくれ」オーラがわかんねーのか?!
俺はいらいらとスマホをいじりたおす。
何度も何度も声をかけられると、返事をしてしまいそうになるのだが・・・絶対に返事をしてやる気はなかった。
「こんにちは、先輩」
「・・・ああ」
ふと顔をあげると、声の主が俺の眼前に佇んでいた。いつの間にこんな近くに来てんだよ。あんたはよぉ
目が合ってしまったので、俺はしょうがなく挨拶を受け入れてやる。
この男は先日俺に告白してきたアイリスとかいうやつだ。
俺のことを「気持ち悪い」だとか侮辱してきたムカつくやつ・・・!
「あっ、え・・・と、なんて名前だったっけ?顔はわかんだけど・・・
「ゴメン。俺、人の名前覚えんのニガテなんだよね」
挨拶を受けれてしまったことにイラついた俺は、咄嗟に嘘をついた
「アイリスです。」
「あーそうそう、そういう名前だっけ?
「印象薄かったから忘れてたわー!マジ、ゴメンな~」
わざと神経を逆なでるような声を出し、煽る。
相手を怒らし、心をかき乱すのは得意だった
「いえ、別に気にしませんので」
「・・・」
気にしろよ!あんた皮肉も通じねぇのかよ!!
怒らせるつもりで口にした皮肉をサラリと返されて、俺は更に腹が立ったが__
済んでのところでこらえ、外面用のにこやかな表情を作る。
「・・・で、何?なんか用?」
なんかあるから俺に会いに来たんだろ。だったらサッサとしてくんねぇ?
あんたの顔なんか好き好んで見たくねぇんだけど
指でとんとんと机をたたきながら理由を聞くと、アイリスは少し口の端を緩ませ・・・
「いえ、特に用はありません」
「・・・は?」
「顔を見に来ただけです。恋人ですので」
誇らしげにそう言った。
「・・・」
「ところで先輩、今食欲ありますか?」
「あ?別に、フツー。」
「それではおやつなんてどうです?作ってきましたので一緒に食べましょう。」
・・・食いもんで懐柔作戦か?
あまりにも幼稚な手立てに笑ってしまいそうになるが、俺はなかなかグルメにはうるさい。
興味をひかれたので、少し会話してやることにする
「へぇ。あんた、料理できんだ?」
「下手の横好きですが」
「どれ?見せてみろよ。言っとくけど、俺けっこうグルメだから」
「はい」
ここは一応カフェ・スペースだが、店員はほとんど学生のことを無視しているので
食い物を持ち込んだとしても何の問題もないだろう
マズかったら目の前で捨ててやっか
無視以外の新たな嫌がらせを思いつき、俺はニヤリとほくそ笑む
そうこうしているうちにアイリスがトレーを持ってこちらへ向かってきた。そして・・・
「どうぞ」
なにやら・・・ほわほわと湯気のたつボウルを俺の前に差し出す。
「・・・は?何コレ」
「ラーメンです」
「・・・」
いや、ラーメンって・・・おやつじゃねぇし
てか、コレあきらかレンジでチンするだけのヤツじゃねぇか!!
「こんなん料理っていわねぇっつーの!ナメてんのか!?あんた」
「すみません。料理はあまり得意ではないもので」
「は・・・?」
アイリスの意図がわからず、俺は目を丸くした
得意じゃないって・・・じゃあなんでこんなん持ってきたんだよ!
得意じゃねーなら用意してこなくていいからあああああ!!!
「先輩のために用意したのですから、まあ、召し上がってください」
やつは、頭のなかで激しくツッコミを入れる俺などどこふく風で
自分用のラーメンをふがふがと噛み千切りながら勧めてくる
「いらねーよ!」
「美味しいですよ?さっきチンしたばかりなのでホカホカです」
「やっぱレトルトのやつじゃねーか!いらねーっつの!!」
「そうですか?」
「では、先輩の分も俺がいただきますね」
「は・・・?」
俺の分も、いただく・・・?
何を言っているのかわからず、ポカンとしている俺など無視して
アイリスはあっさりと二皿目に手をつけ、ふがふがと麺を噛み千切り始めた。
俺のために用意したとか言っていたおやつ(ラーメン:おやつではない)を
こいつ・・・あっさり食いやがった・・・・!
そもそもこいつは俺のためじゃなくて、自分が食いたいからラーメンを用意したんじゃねぇの?
じゃなかったら、俺に用意したものにまで手をつけることなんてありえねぇ!常識的に考えて!
いや、てか、男の俺に堂々と告白してきたこいつに常識なんてあんのか・・・・?
・・・・こんなにわけのわからない相手は初めてだ・・・・・・
そういう結論に至り、初めて自分が相手に振り回されていることに気がついた。
こんなやつにペースをかき乱されてるなんて・・・・!
不愉快な思いがじわじわとこみ上げ
目の前の男をずたずたに傷つけてやりたくなった。
「少し席を外しますね食器を洗ってきますので」
「・・・ちょっと待てよ」
「はい?」
「俺、あんたに聞きたいことあんだけど」
「何でしょう?」
「あんたってさぁ・・・俺の顔が好きなわけ?」
「何故そのような質問を?」
「だって、一目ぼれなんだろ?俺、よくわかんねぇんだよね、一目ぼれ。したことないから
「あんた、よくするの?」
「一目惚れ、ですか?
「そうですね・・・よくする方、なのしれません」
「へぇ・・・」
「じゃ、あんたってくだらない人間なんだな」
「・・・・え?」
「一目ぼれって外見しか見れないようなやつの恋愛遊戯じゃねぇか」
「恋愛遊戯。」
「そ、ママゴト。ごっこ遊び。結局さ、あんた、退屈なんだろ?退屈だから「一目ぼれ」なんかしてみせんだよ
「ダルイ毎日を、刺激的で非日常にしてくれそうな俺にさぁ」
「・・・それ、逃避じゃね?恋なんかじゃねぇよ、あんたのそのキモチ、は」
あんたは薄っぺらだよ
薄っぺらでどうしようもない、チンケな雄だ。くだらない人間だ
「・・・それとも何か?興味あんのは俺の体の方か?
「なら・・・」
俺は茫然とした様子で佇むアイリスににじりより、肩に腕を回した。
そして、息がかかるほど顔を近づけ、甘く、甘く囁いてやる
「相手してやってもいいぜ?俺、あんたみたいなやつ啼かすの好きなんだよね」
誘うように瞳をのぞきこむ。
さあ、乗ってこい。乗ってきたら天国をみせてやるぜ?
好きだのなんだのなんてめんどくせーこと言ってねーで
さっさとヤリたいって言えばいいじゃねぇか
俺はあんたのことなんて最初から信じてねぇんだからよ
「・・・・・」
「それはたいへん興味深いお誘いですが・・・」
「今はお断りします」
「あ?」
アイリスはきっぱりと言い切ると、俺の腰に腕を回して抱き寄せた
慌てて身をよじるが、がっしりと固定されびくともしない。
「あっ・・・!クソッ・・・・!」
ならば、せめてもの意思表示とばかりに顔を背けるが、顎を掴まれ正面を向かされてしまう。
「・・・っに・・・すんだよ・・・・・っ」
顎を固定されてしまっているせいで首が痛かった。
クソッタレ・・・!
俺はアイリスの方を絶対に見まいとして、ガラスで覆われた壁を睨み付けた
「・・・確かに、俺はくだらない人間です。どうしようもなく、くだらなくて・・・嫌になるほどの。
「ですが、貴方にそのように言われるのは心外だ」
「あぁ!?」
「好きだ。貴方のことが」
「っ・・・」
「この気持ちは、誰にも疑われたくありません。特に、貴方には」
「な・・・」
ん、だよこいつ・・・いきなりっ・・・!
突然の告白に驚き、アイリスの方を見つめてしまう
すると・・・
舐めまわすかのように、ねっとりと俺を見つめる瞳と目が合った。
静謐な瞳の奥に思いほか強い劣情を感じ、俺はハッとした
こいつ・・・・・!
「やめろっ・・・・!勝手に、さわんな!!」
得体の知れない何かを感じて俺はしゃにむにもがき、アイリスの腕の中から逃げ出す
肌がぞわりと粟立っていた。
「怒らせてしまいましたか?すみませんでした」
何が「すみません」だ。涼しい顔しやがって・・・
「・・・あんたさぁ。もうちょい「すみません」って顔したら?全然謝られてる感じしないんだけど
「てか、誠意が足りないよね?あんた、悪いことしたって思ってないだろ!」
「はい」
「やっぱりかよ!・・・ずうずうしいやつ・・・・!」
「そうでしょうか」
「は?」
「好きな人に触りたいと思うのは自然な欲求かと」
「・・・!」
さも当然のことかのように言い放ったアイリスの言葉は・・・
俺に深く突き刺さった。
好きな人に触りたいのは自然な欲求・・・・
なんだよ・・・それ・・・・
いいよな。あんたはいいよな・・・
正直でいられて・・・
どうせ、好きな奴の前で、嘘を付かざるを得ない男のきもちなんて
考えたこともないんだろ?
想っても想っても
苦しいだけの恋なんて、したことないんだろ?
もう、いい
「先輩・・・?どちらへ?」
「今日はもう講義ないんですか?」
「先輩」
「先輩」
なおも呼びかけてくるアイリスの声がたまらなく鬱陶しく感じ、思わず声を荒げる
「・・・・うっせぇな・・・・!
「いつまでいつまでも話しかけきてんじゃねーよ!!!」
一度声を荒げてしまったら、もう止まらなかった
「あんたさぁ!俺がシカトしてるってことくらい気づけよ!!!
「バカじゃねぇの!!?俺はもう、あんたとは話したくねぇんだよ!!うんざりなんだよ!!!あんたみてぇなクソウゼェ・・・!
「何しても顔色ひとつ変えねぇ!つまんねーやつ!!!」
「もう俺にかまうな!!」
「失せろ」
「あ、先輩・・・・」
・
・
・
・・・・今までこんなことはなかった。
腹が立つことはあっても、怒りにまかせて怒鳴り散らした挙句、
逃げるように立ち去るだなんて・・・まるで情緒不安定だ。これがあのマオ様か・・・・!?
クソッ・・・・・!
しかも・・・俺が、この俺が他人のペースに乗せられるだなんて!
吐き気がするほどの怒りを感じ、爪が食い込むほどこぶしを握り締めていた
感情をむき出しにさせられたことが、まるで、丸裸にされたかのように屈辱的だった。
絶対にこのままで済ますものか・・・・!
俺はいつでも主導権を握ってきた。
どんな相手に対しても上手く対応して、自分を優位に導いてきた
あいつに好き勝手振り回されたまま終わってたまるかよ
そう決意をし、唇を痛いくらいに噛みしめると・・・・
「あれ?君・・・・・」
「やぁ、久しぶりだね。こんにちは。」
世界で一番出会いたくない男に出会ってしまった。
「奇遇だね?こんなところで出会うだなんて。ふふっ。
「君は大学・・・の帰りかな?私は仕事でここに来たんだけど、都会は相変わらず人が多いね。」
その男___ラベンダーは優美な微笑をたたえ、気安げに話しかけてきた。
その微笑はこの男のことを知らない者から見たら、ひどく魅力的なのだろう
先ほどから道行く人がちらちらと彼のことを盗み見ていたが、俺はやつを睨み付けた。
「なんか用?」
「うん?ううん。別に。」
「じゃ、話しかけてくんじゃねぇよ!」
「あ、待って。」
「せっかく会えたんだからもっとお話ししようよ。大学はどう?理工学部なんだっけね?」
「・・・うっせぇな。あんたと話すことなんて何もねぇよ・・・!」
これ以上他人に干渉されたくなくて、足を速めると
後ろからかすかな笑い声が聞こえてきた。
「ふふっ」
「・・・!」
相手を見下しているような、ひどく不愉快な笑い方だった。
「何がおかしいんだよ・・・・!」
「ううん。なんでもないよ。ただ、小学生みたいだなぁと思って。」
「な・・・!」
「嫌いなんだね?私のこと。」
「あたりまえだろ!あいつに、あんな・・・セクハラまがいのことするようなやつ・・・!」
咄嗟に思い出されたのは、以前見せつけられた電車内での行為だった
この男は・・・カモミールに覆いかぶさり・・・・・彼を貪っていた
思い出すだけで腸が煮えくり返る
恋人であるこいつがカモミールを大切に扱わないなんて・・・絶対に許せなかった
「あいつの気持ち、考えたことあんのかよ・・・・!ちゃんと!!」
「・・・あんなこと?」
「とぼけんじゃねぇよっ!!!あんた・・・電車で、カモミールに・・・・!」
「ああ、あれか。」
「あれかって・・・!あんた・・・俺が止めなかったらそのまま最後までする気だったんだろ!?・・・最低だな」
「最低か・・・ふふ、最低、ねぇ?」
「だから!何がおかしいんだよっ!!!」
「あれね・・・」
「君がいるからやったんだよ。」
・・・は?
な・・・に・・・言ってんだ、こいつ・・・
「私とカモミールの仲、見せつけてあげようと思ってわざとやったの。
「君が一番見やすい場所で、ね」
「・・・!」
「カモミール、気持ちよさそうだったよね?私にだけだよ?あんな顔をするの。あんな声を出すの。
「私にだけ。ふふっ、あはは」
・・・そんなことのために・・・・・・?
ただ俺に見せつけるためだけにこいつは・・・カモミールにあんなことを強要したのか・・・・?!
頭を強く打ちつけられたような衝撃が走った。
こんなやつが・・・・カモミールの恋人なのか・・・・・?こんな・・・下衆が・・・・・!
そう思うと、涙が出そうなほど悔しかった。
「あんた・・・そんなことのためにカモミールを弄んで・・・!
「そんなことにあいつを巻き込むんじゃねぇ!!!あいつは・・・あいつは・・・・!」
「・・・ねぇ、君ってまだカモミールのことが好きなの?」
不意の質問にドキリとする。
「っ・・・!・・・あんたには・・・関係ないだろ・・・・!」
「ふぅん、そっか・・・」
「まだ好きなんだね?」
「・・・えっ・・・」
ラベンダーの手の中でキラリと光るものがナイフだとわかった瞬間
焼けつくような痛みが走った。
「なっ・・・!うぐっ・・・・!」
ラベンダーの細く白い指が、俺の喉を締め上げる。
優しげな容姿からは思いもよらないほどの強い力に、俺の喉から蛙が潰れたような音がした
「声を出さないで?
「少しでも声を発したら一生お話しできないようにしちゃうよ?」
片方の手にナイフをちらつかせながら、子供をあやすように優しく優しく話しかけるラベンダーに
俺は言いようのない恐怖を覚える
「・・・・っ!」
肯定の意を伝えるために思いっきり唇を噛みしめると、ラベンダーは薄く笑って腕の力を緩めた。
俺の体は情けないくらいがたがたと震えていた
「そう。わかるね?君の命は今、私の手の中にあるの。
「楽しいね?あはっ」
どうかしているとしか思えない。
こいつ・・・!こんな街中で・・・・正気かよ・・・・!?
「君、私のことが嫌いなんだよね?」
「・・・っ」
「私もだよ。」
「私も君のことが大嫌いなんだ。カモミールの心の中に少しでも君がいると思うと
「殺してしまいたいくらい憎い。カモミールを泣かせた君が憎い。」
「彼の泣き顔は、彼の涙は、ぜんぶぜんぶ私のものなのに
「私だけのものなのに・・・!」
「・・・はっ、・・・うっ・・・・」
「君の首を絞めて、八つ裂きにして、ぐちゃぐちゃにしてやりたい。
「君が憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。」
「・・・ああ、だめだ。これ以上考えると私、どうにかなっちゃいそうだよ・・・」
つめたい殺気。
キリキリと締め上げられる喉。
歪んだ笑みには
ただただ自分に向けられる憎悪の感情。
憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、憎悪、
こんなに憎まれていただなんて・・・・
ラベンダーの指が俺の喉に食い込み、また焼けつくような痛みで締め上げられる
俺は喘ぐようにくぐもった吐息を漏らし、ラベンダーの手をじたばたと掻き毟っていた
目から生理的な涙があとからあとから零れ落ちる。
い、き・・・できない・・・
くる、しい・・・・くるしいくるしいくるしいくるしいくるしいくるしいもうやめてゆるしておねがいだから
陸に上がった金魚のように、少しでも息を吸い込もうともがく俺を見たラベンダーは
「ふふっ・・・あはは・・・・あはははははははははははははは!」
とても愉快そうに笑っていた。
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