2012年11月22日木曜日

【Spin off= M@o】 "F*ck you!!

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『なぁ、カモミール・・・』

『なぁに?マオ』


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『俺達・・・
『卒業してもずっと・・・友達、だよな?ずっと・・・・・』

『・・・・』


『何言ってんだよ!』


『!』


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『あたりまえだろ!

『俺達はずっと友達だよ!どこへいようと、何になろうと関係ない』
『ずっとずっと友達だよ!』


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『・・・・』


『そっか・・・そう、だよな・・・』


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『てか、お前さぁ、そのダッセー髪型、なんとかしたら?』

『ええーー!?ださい!?俺の髪型ってださいか・・・!?』

『ああ、ダッセーよ。死ぬほど。』

『ぐぬぬ・・・そこまで言うなら、マオがなんとかしろよ・・・』

『いいぜ?俺が切ってやるよ!まったく。お前は俺がいないとホントだめだな~!』



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だから
ずっといっしょにいような

カモミール









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「・・・・!」

不意に体が大きく揺れ、強引に現実に引き戻される


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どうやら眠ってしまっていたらしい。
まだ少しクラクラする頭に顔を顰めながら、俺はついさっきまで見ていた夢をゆるゆると反芻していた。


よりによってあんな夢をみるだなんて・・・・・






そうだ・・・


あの頃の俺は

あいつとずっと一緒にいられると思っていた





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数日前、俺の数年間にも及ぶ片思いの記録は盛大に砕け散った。

砕け散った、というのは少しちがうか・・・
俺が自分で終わらせたのだ


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あいつを無理やり犯そうとして・・・
あいつを傷つけて

おしまい。


まともな告白すら、しなかった


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バカみてぇだな・・・俺・・・・

でもきっと、告白したってだめだった。うまくいくとは思えなかった。
あいつはずっと俺のことをただの友達としか見てなかったし、俺も絶対に、気持ちを悟らされないようにしてたから

しかも
あいつには、あいつの隣にはもう・・・・

だから


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これでいい
もう、どうだっていいよ


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「あー・・・この電車、事故ればいいのに・・・・」

なんて、馬鹿みたいに自己中心的な考えが後から後から湧いてくる。

この想いも、この苦しみも
俺の存在ごと粉々に砕け散ってしまえばいい








だけど


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「店員さん、注文お願いしまーーす」

「・・・」



どうして・・・


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「オムライスひとつと、クラブハウスサンドひとつ、シーザーサラダにペパロニピザも頼んじゃおっかなー
「あ、あと食後にティラミスとクリームソーダひとつ!大至急ね!」

どうしてこいつは・・・こんなに能天気な顔をして俺の前に座っているんだ?


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「・・・何?」

「えっ・・・何って?注文だよ注文!オムライスとークラブハウスサンドとーペパロニピザとー」

「だから、何でお前がここにいるわけ?」

「何だよその言い方!ただゴハン食べに来ただけだろー!?」


にこやかに笑うカモミールの言葉をため息で返し、俺は眉を顰めた。


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「あまり、あの街を出たがらないお前が、わざわざ都会まで来てメシって・・・あきらかおかしいだろ」

「いいじゃん別に!俺だってたまにはこういうところで食事したいしー
「・・・というか!お客様に対してなんて口調だ!クレームつけんぞ!」

「・・・」

クレームとか・・・やめてくれ。めんどくせぇな・・・


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「目的は何?」

「え・・・」

まるで言葉あそびのようなやり取りにじれったさを覚え、いらいらとねめつけると
カモミールは小さく息をのんだ


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「ただ、メシ食いに来たわけじゃねぇだろ。俺が見抜けないとでも思ってんの?」

こいつが何を考えているかなんてすぐにわかる。
どうせ、気まずいまま疎遠になるのが嫌で、俺に会いに来たんだろ?

何年お前を見てきたと思ってんだよ
ふざけんなよ

「・・・・それは・・・・あの、えっと・・・」


カモミールは、助けを求めるかのように視線を忙しなく泳がせていたが
やがて、降参したかのようにぽつりとつぶやいた。

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「マオと・・・もっかい、ちゃんと話がしたくて・・・」




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「_____



「見てわかんないわけ?忙しいって」




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「そういうの、超迷惑。」


「あっ・・・マオ!」




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「・・・・マオ」










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相変わらずバカ素直なカモミールに舌うちをしながら、俺はそっとバイト先から抜け出した。

正直いまは顔を合わせたくない。
こんな気持ちのままで会えるわけがない

こんな・・・ぐちゃぐちゃな気持ちのまま・・・・
思わぬ出会いに、俺はひどく動揺していた。

はやく、ここから立ち去りたい。
もうこれ以上ぐちゃぐちゃにされたくなくて、足を速めたが・・・・



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「マオ!」

どうやら先回りされてしまったらしい

「カモミール・・・!?おま・・・!なんで・・・・・・」


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「待ってたんだ。マオと・・・話がしたくて・・・」


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「・・・・っ俺は、お前と話すことなんて、ねぇよ・・・・!」


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「あっ・・・マオ・・・!」


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「ま、待って・・・!」

「っ!」


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縋るように伸ばされた腕に身動きを封じられ、ドキリとする。
あいつの、思いのほか強い腕の力と、手のひらの熱さに心臓が騒いだ

「・・・・っ、いってぇな・・・・離せよ」

「ご、ごめん・・・!」

「謝んなよ・・・」

「ごめん、マオ・・・ごめんなさい・・・ごめ・・・」

「謝んなって言ってんだろ!!」

「だって・・・!」


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「俺・・・もう、二度と顔見せるなって言ったよな?お前の顔なんて見たくねぇって・・・
「ウザイんだよ!」

「もう、消えろよ・・・・!」


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「そんなの知らない!!」

「は・・・?」

「マオは、俺にとって大切な親友なんだ!なくしたくない。失いたくないんだ・・・
「だから・・・・!」


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「俺は、消えない!!!俺は・・・マオに許してもらえるまで何回でも謝る!」


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「ごめん・・・マオ・・・!

「傷つけて、ごめん・・・・!ごめん!ごめん・・・ごめん・・・・!」

カモミールの涙、カモミールの声
贖罪のようなそれに、息が詰まる

やめろよ・・・
もう、やめてくれ・・・・


お前はなんでそんなにイイヤツなんだよ・・・
なんでそんなにすべてを許せるんだよ・・・・

俺がお前に何をしようとしたのか忘れたのかよ
俺がお前に何を言ったのか忘れたのかよ


お前がそうあればあるほど
俺は自分の醜悪さを思い知らされるんだよ!
自分のことがどんどん嫌いになってくんだよ・・・!


だからお前はムカつくんだよ!!!
俺はお前のそういうところが大嫌いだ!!


だけど・・・


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俺はお前のそういうところが、好きだ
大好きなんだ


苦しい・・・・
もうこれ以上俺を苦しめないでくれ・・・

眩暈がする。足元がグラグラ揺れて、頭が割れそう
痛い・・・痛いよ・・・・

やめて、くれ・・・・!





耳をふさいでしゃがみこんでしまいそうになる俺に
どこからか、静かな声が語りかけてきた。

「あ、れ・・・先輩?」

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「先輩じゃないですか。こんなところで出会うだなんて奇遇ですね」


「は・・・・?」


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あんた・・・・誰・・・?



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突然の闖入者に、俺は困惑した。

「先輩、いま時間あります?ちょっと聞きたいことがあるんですが」

「は・・・え・・・・?」

俺・・・?俺に話しかけてるのかこいつ!?てか、「先輩」って俺のこと・・・・!?
こんなやつ・・・後輩にいた、か・・・?

あまりにも親しげに話しかけてくるので、即座に記憶をたどってみたが・・・知らない。
見たこともない男だった。
赤の他人、だよな・・・他人のはずなのに・・・どうして・・・・?

「な・・・なんなんだよあんた!俺はあんたのことなんて・・・・・」

知らない・・・・!そう言おうとした俺を


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男はふわりと抱きすくめた

「先輩・・・」

・・・・・・・は?
一瞬何をされたのかわからなかったが
・・・・どうやら抱きしめられているらしいと悟り、頭にカッと血が上った。

「な・・・!っに、すんだよ!あんたっ・・・・!」

突き飛ばそうとして腕をつっぱると、逆にがっしりと腕をつかまれ引き寄せられてしまう。

「っ・・・・!」



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「行きましょう」

「!?な・・・行くって・・・?」

「お困りなのではないですか?」

お困り・・・・?な、何言ってんだこいつ・・・・

「俺にはそのように見えました。ですから行きましょう」


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「俺についてくれば、この場からスマートに逃がしてさしあげますよ?」

「!」

得体の知れないその男は
まるで恋人に愛を紡ぐかのように、秘密を共有するかのように、甘く甘く囁いた。

「さ、行きましょう。悪いようにはしませんから」

「・・・・・・・ホント、なのか?」

「ええ、もちろん」

自信たっぷりに言い切る男に不信感と不快感がつのる。

だけど・・・・


「・・・わかった。あんたについてく」

俺はとにかくここから逃れたかった
もう、なにも考えたくなかった。

「・・・ありがとうございます」


「では、行きましょうか」


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男は強引に俺の手首をつかむと、力任せにぐいと引っ張りはじめた。

「っ!」

「先週出たレポートのことでちょっと質問があるんですよ。どうしてもわからない箇所がありまして」
「みていただけませんか?かなり詰んでいるんです」

「っ痛・・・!いたいっ!おい!ひっぱるな!」

耐えがたい痛みに、俺は抗議の声をあげたが、男は知らん顔でずんずん突き進んでいく


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「早く書きあげないと提出期限に遅れてしまいます」

「痛いつってんだろ!おい・・・!離せよ!!クソッ!!」


「あ・・・・あの・・・ちょっと・・・」


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「・・・マオ・・・・」








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「っ・・・・・くっ・・・・」



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「っ・・・!おい!クソ野郎!!!いつまでひっぱってんだよ!ざけんなよ!!」

「え・・・・?」


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「ああ・・・そうでしたね」

「そうでしたねって!あんたなぁ・・・・!!」

「すみません。こうでもしないといけない事態だと思ったので」

手首をさすりながら文句を言ってやるが、さも当然のことをしたかのように言われしまい、ぐっと言葉につまる。
こいつ・・・なんでこんなに落ち着いてやがんだよ・・・


「・・・・」


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「・・・あんた、誰?」

「後輩です。先輩の大学の」

「知らねぇんだけど」

「学部、違いますから」

「ふぅん・・・何でこういうことしたわけ?」

「おや?その質問には先ほど答えましたが・・・?」

「うっせぇ!さっさと質問に答えろ!!」

「・・・貴方が悪漢に絡まれているように見えたので、お助けしなければ、と思いまして」

「は・・・!?」


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「絡まれてる、だと・・・・!?別に絡まれてなんかねぇよ!カモミールのこと、悪く言うんじゃねぇ!!
「ウッゼぇヒーロー気取りの勘違い野郎が!!!何も知らねぇくせに!!」

悪漢!?お助け!?
まるで的外れな見解に、体中の血液が沸騰しそうなほどの怒りを覚える。
ひどく・・・不愉快だった

「ええ、確かに俺は先輩のことをよく知りませんが・・・」


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「わかりたいなぁとは思っていますよ」

「・・・あぁ!?」


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「俺は、先輩のことが好きです」


「・・・・・・・は・・・?」

な、に言ってんだ・・・・こいつ・・・・
男の言葉が理解できなくて、俺はばかみたいにポカンとしてしまった


「好きなんです。大学で一目惚れしました。できれば貴方と正式なお付き合いをしたい」


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ダイガク? ヒトメボレ? オツキアイ?
俺は更に混乱した。

「あんた・・・何言ってんの?俺ら、男同士じゃん」

「どうだっていいじゃないですか。そんな些末事。」

「どうだっていいって・・・・!」


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「あんた・・・ホモなわけ」

「まあ、そういうことになりますかね」

「そういうことになりますねって・・・そんな・・・・・」
おいおい、マジかよ・・・・


「あ、そうだ。自己紹介がまだでしたね」


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「アイリスと言います。アイと呼んでください」

得体の知れないその男は、初めて少し微笑んだように見えた



「・・・」



「・・・っ・・・くくくく・・・・」


「先輩?」

「ふはっ・・・!はははははは!!」


人気のない路地に馬鹿みたいな笑い声が反響する
気が付いたら、俺はまるでタガがはずれたかのように爆笑していた。

男は、そんな俺の様子を不思議そうに見つめ、首をかしげる


「何故、笑うんです?」

「ははははは!だって・・・だってよぉ・・・・!」


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「キモすぎだろ!あんた!!
「なーにが男が好き、だ!そんなん急に言われても戸惑うだけ、気持ち悪いだけで何とも思わないんですけどー?
「てか、男に告白とかマジかよ!!よくやるわぁ~~~!」

「しかも、アイって・・・!女かよ!あんたほんとキモイな!」


好きだと告白すれば、好意を真摯に言いつのれば、
受け入れてもらえると思っている。

男の甘い考えが透けて見えて、俺はおかしくてたまらなかった


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「うはっ、ヤッベー!超ウケる!」

「・・・」

なおをも馬鹿笑いを続け、ヒュウヒュウと喉を鳴らし腹を抱える俺を
男は一瞥し、静かに口を開いた


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「では、貴方もですね」

「・・・はぁ?」
何言ってんだこいつ

「貴方だって先ほどの・・・カモミールさん、でしたっけ?彼のことが好きなのでしょう?」

「・・・!なっ・・・!なんで・・・」

なんでこいつがそのことを・・・・カモミールのことを知っているのか・・・!?


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「あ、図星でしたか。適当に言ってみただけだったのに」

「・・・!なっ・・・・・・・・・・!」

「気持ち悪いのはどちらも一緒。俺達は同じ穴の貉じゃないですか」

「・・・きもち・・・わるい・・・?」


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「気持ち悪いだと・・・!?俺が!?この俺が、か・・・!?」

「ええ、気持ち悪いです。貴方も、俺も、ね」

「てめぇ・・・・!」


にべもなく積み重なる男の言葉。

俺はカモミールへの想いを全否定されたように感じ、目の前が真っ赤になった。
どうして・・・こんなワケわっかんねぇやつにこんなこと言われなきゃなんねーんだよ!

おまえに、おまえに、何がわかる・・・・!
俺が、どれほど・・・・っ

激しい怒りがあとからあとから湧きあがる。
俺は今にも爆発してしまいそうになり、男を思いきり睨み付けたが・・・

やつは静かに口を開いた


「ですから」


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「俺達、付き合いませんか?」


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「・・・・・・は?」

不愉快なほど意味不明だった。


「前向きに考えましょうよ。同じ穴の貉ということは共通点がたくさんあるということです。
「案外うまくやってけるんじゃないですか?俺達。」

「俺と付き合うとお得ですよ?違う学部の後輩と親しくなれます。
「これは非常に良いことだと思いませんか?新しい知識と出会えるかもしれませんよ?
「それに俺、こう言ってはなんですが、結構面白いですし。先輩を退屈させることなんて・・・」


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こいつ、何言ってんだ?

急な話題転換についていけず、俺は男を茫然と見つめた
ペラペラとしゃべる男の顔は、どこか余裕がなく、切迫して見えた

なんだ、こいつ・・・・?さっきまでの失礼な物言いはどこいった・・・?
必死じゃねぇか・・・必死に言い募って・・・・

なんで・・・




・・・・ああ

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こいつ、
本気で俺のこと好きなんだな




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「・・・別にいいぜ?付き合っても」

「・・・!」
「本当ですか?」

「ああ」

「うれしいです・・・!」

「そうか、それはよかった」


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「少し生意気なことを言ってしまったので怒らせてしまったのではないかと・・・・すみませんでした」

「いや?別に怒ってねぇよ」

「よかった・・・それでは早速メールアドレスの交換をしましょう
「先輩の携帯電話、赤外線あります?」


「ああ。あるぜ」

「・・・」
「うれしい、です」

「あ?」

「ずっと好きだった先輩とアドレスを交換できて・・・しかも、付き合えるだなんて・・・」

「そうか」


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「そんなに言ってもらえると、俺もうれしいわ」

男は・・・アイリスは本当に嬉しいようで、携帯の画面を何度も見つめていた
はしゃいでいるようにすら見えるその姿は・・・ひどく滑稽だった。

好き、か
好き、ねぇ・・・?


俺も嫌いじゃないぜ?


あんたみたいに壊し甲斐がありそうなやつ



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誰が真剣な付き合いなんかするかよ
バッカじゃねぇの?
遊ぶだけ遊んでゴミみてぇに捨ててやるよ

俺を、俺の想いを「気持ち悪い」だなんて・・・・!
クソみてぇなことぬかしやがって・・・・!!


俺を怒らせたこと、後悔させてやる





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