父親は政治家、母親は大手企業をいくつも経営する社長
家は裕福だった。
何もかも手に入れられると思っていた
「遅い」
「すみません」
「15分以内に買って来いって言っただろ!」
「ただ今経過した時間は15分05秒です。」
「5秒過ぎてんだろ!ったく、使えねぇな・・・・!」
「あのゲーム」を始めてから、俺はアイリスであそんでいた
夜中に突然呼びつけてクラブまで送迎させたり、わざと”違う地区”の”違う店”で品物を購入してくるように言いつけたり
池の温度が知りたいなどと言って池に飛び込ませたり__
くだらないことばかりやらせていた
もちろんそんな遊びとは別に、様々な雑務もこなさせていた
せっかくの奴隷だ。使わなくては損だろう
「主食に「ビストロ・リトルコルシカ」の秋季限定ローストチキンサンドイッチと「タルト・タタン」のグリーンサラダ、
「デザートに「アンジュ・エール・ベーカリー」のタルトと「ブラン・ブルム」のコンフィチュール
「食後に飲むコーヒーは「スターライト・カフェ」のホット。トッピングはローストアーモンドとソイミルクです。お持ちしました。」
「チッ・・・商品自体は全部合ってんな」
「・・・だけどさぁ、あんた、こんなぬるいコーヒー俺に飲ませようと思ってんの?」
「購入する際、魔法瓶にいれてもらったので、まだ十分あたたかいかと思いますが」
「あ?あんたの感覚なんて知らねぇんだよ。俺がぬるいっつったらぬるいわけ。わかる?」
「はい。」
「・・・じゃあ、突っ立ってねぇでさっさと買い直してこい!愚図が!」
「わかりました。」
俺の命令を受けたアイリスは、すぐさま身を翻し、元来た道筋を辿っていった。
「はは・・・まるで犬みてぇだな、あいつ」
陛下と呼ばせ、傅かせる
なんて、素敵なことなのだろう。無茶な注文を考えることは楽しかったし、
なにより・・・あいつは本当に俺の命令を忠実に守った。
まだくだらないことしかさせていなかったが、これなら本当にどんなことでもやってくれるのではないだろうか
そのことを考えると愉快で愉快でどうしようもなくなってしまう
あのアイリスを従わせていると思うと
胸の奥から、何か熱い物がじりじりと湧き上がってくる感覚がしてバカみたいに楽しかった
人に命令を下し、従わせることはとても楽しくて・・・癖になりそうだった
あいつの憮然とした態度が気に食わなかったが・・・
そんなものはこれからどうとでもなるだろう
・・・アイリスが俺の無茶な注文にどこまで耐えられるか・・・・見ものだな
俺は笑いをかみ殺しながら、コーヒーを飲み干した
「こんなに食糧を買い込んで・・・パーティでもするのかい?」
「!・・・先生」
昏い思考の海に佇んでいた俺の前に現れたのはベイリー氏だった
彼は物理学を研究している准教授だ。その優しげな顔立ちとおだやかな人柄のおかげで
学生たちにかなり人気がある
「ちがいますよ。全部、ひとりで食べるんです」
「こんな量をひとりで食べるのかい?うわー成長期だねぇ」
「ええ、まあ」
彼はすこし驚いたような声をあげると、さりげなく俺の隣に腰を下ろした。
「・・・・先生も食べます?」
「んー・・・先生はいらないかな」
「そうですか」
「・・・パンよりほしいものがあるからね」
そう言うと、彼は俺の内腿に手を這わせ・・・嫌らしく撫で上げた。
頬に熱い吐息を感じて見上げると、欲望に満ちた瞳が誘うように見つめてくる
「・・・だめ。ここ、学校ですよ?」
「いいだろう?少しくらい・・・君にとってはなんてことないだろう?随分遊んでいるらしいじゃないか。
「学校でもそうなんだろう?だから、俺も知りたいんだよ。君の味、を・・・・」
「・・・・いまはまだ、だめ・・・・」
耳元で甘えるように囁いてやると男は目を細め、しぶしぶながらもうなずいた
「・・・・そうだね・・・あんまりしつこくすると嫌われちゃうかな」
「顔色、悪いよ?勉強熱心なのは認めるが、あまり無理をしすぎないように。」
「”先生”は君に期待しているんだからね」
そう言うと、男は何食わぬ顔で俺の肩をたたき、その場を後にした
発情期かよ、クソが・・・!
あの男はどうやら俺の身体に興味があるらしく、このようなことがたびたびあった。
誰が大学で男漁りなんか・・・!俺と遊んでくれるやつなんてゴマンといるっつーの
あんな風にセクハラまがいのことをされるのは不愉快極まりない。
できることなら顔面につばを吐きかけてやりたいほどだったが・・・
あの男は「准教授」だ。しかるべき時に利用できるよう、繋がりは持っておいた方がいい
焦らして焦らして焦らして焦らして焦らして飢餓感を煽り
喉から手が出るほど求めさせてやる
そうすればどんな言うことでも聞いてくれるだろう
だから俺はただ、やつの目の前に餌をぶら下げてやればいい
「家畜が」
俺は唾を吐き捨てると、スマートフォンを取り出す。
アイリスは一体何をしているのだ。あいつが遅いせいで豚の相手を・・・!クソッ・・・・!
怒鳴りつけてやろうと思い、通話ボタンを押すと・・・すぐそばでコール音が鳴った
「何してんだよ。あんた・・・そんなところで!」
「・・・誤解しないでください。俺は今来たところです。止めようと思ったのですが・・・行ってしまいましたので」
「はっ!どうだか」
見てねぇでさっさと来いやクソが!
俺はどうしようもなく怒りを感じ、アイリスを睨み付ける。すると・・・やつは瞳を伏せた
「・・・何か言いたそうだな」
「そんなことはありません」
「なんだ?あんた、妬いてんのか?」
「・・・」
「・・・・来い」
低く呼んでやると、アイリスはまるで忠犬のようにそばによってくる。
俺はその体にしなだれかかった
「あんなの、俺にとってはなんてことない遊びだ。気にすんなよ」
「・・・」
「ゲーム、してんの忘れたのか?あんたは俺の奴隷だ。一番身近な存在のな・・・・
「大丈夫だ。あんたが勝ったらちゃーんとあんたのことを見てやる。ルールは守っからさぁ」
指先であやすように顔を撫でてやると、アイリスは心地よさそうに瞳を閉じた
人間なんて所詮動物だ。
「欲」という「褒美」をぶらさげてやれば尻尾を振って求めてくる
こいつだってそうだ。
見返りを求めて俺に尽くしている
食い荒らされることなんてつゆ知らずに夢を見る
哀れな哀れな家畜。
反吐が出る______
「あ・・・おはようございます。マネージャー・・・」
「はよ」
俺はアイリスを「バイト先」まで送らせると、従業員に気のない挨拶を送った。
そう。ここは母親の会社が運営する店舗のひとつだった
俺はここのマネージャー兼店長を任されていた。
「若い感性を取り入れたい」というどうでもいい理屈で
何が若い感性だ。若い奴ならいくらでもいるだろうに!どうして俺を巻き込もうとするのだろう
心底くだらない、親のエゴ。
・・・しかも、どうやら俺は「なにもしなくていい」らしい
ただのお飾りなのだ。所詮
だから俺は適当に出勤している
今日もどうやって時間をつぶそうかと考えていると・・・
ロッカールームから声が聞こえてきた
「あの子まだ大学生なんでしょ?それなのにマネージャーってさぁ・・・わけわかんなくね?」
「あーわかります。ぶっちゃけ俺とタメっすもん。」
「ええ!?本当?」
「そうっすよ。でも俺より給料高いんじゃないすか。・・・俺より店にいる時間少ないのに」
「うわっ、なにそれありえない」
「ま、いても足手まといっすけどね」
「はっきりって戦力外よね。ホント、何のためにいるんだって感じ。いる意味ないよ」
「社長の息子だかなんだか知らないけどさぁ・・・」
父親は政治家、母親は大手企業をいくつも経営する社長
家は裕福だった。
何もかも手に入れられると思っていた
高級マンションでの一人暮らし、何台もの新車、大学に在籍しながら、カフェのマネージャー兼店長という肩書
使いきれないほどの大金。
でも、本当は何一つ持っていなかった
すべては親の力、親の金
俺のものではない
俺のものではないから虚しい
俺のものではないから誰も認めてくれない
そんなの、わかりきったことなのに・・・・
「は?なにそれ」
「・・・!あ、・・・・ま、マネージャー・・・」
「あーあーそろいもそろってまぁーー
「仕事したら?こんな場所に大勢集まってさぁ・・・・馬鹿なの?」
「こーんな従業員しかいない店、うちの親が知ったらどうすっかなー?」
「な・・・!」
「てか、陰口とか言っていいわけ?
「・・・・あんたら、俺を誰だと思ってんの?あんたらの雇い主の息子のマオ様だぜ?」
そう、俺はマオ様だ
人の褒美となり得るモノをなんだって持っている。
人を人とも思わない、道楽息子のマオ様
母親の名前を使って何が悪い。父親の権力を笠に着て何が悪い
それを使わないでどうする?
だって、それを持って生まれてきてしまったのだ
しょうがないだろう?
「わかったらさっさと働けよ。愚図!」
俺はまたそうやって道楽息子を演じた
それが、皆が俺に求めている姿なのだから・・・・
誰にも理解されなくていい。
認められなくていい
・
・
・
「マ、マオくん・・・大丈夫・・・?」
「・・・・」
「も、も、もう、お店、閉まるって・・・わっ!と、と・・・・だ、だ、だ大丈夫?」
「・・・・他のやつらは?」
「え・・・・え、え、え、え、えっと・・・・ど、ど、ど、ど、こ行っちゃったんだろう!」
「・・・」
「わ、わ、わ、わかんない・・・け、けど、すぐ、戻ってく、く、るんじゃないかな」
・・・俺を置いて先に帰ったのか
セージの動揺で上擦った声を聞いて俺は瞬時に悟った。と、同時に胸に苦いものが込みあげる
あの連中のことをトモダチだなんて思ったことは一度もなかったが・・・・どうしようもなく惨めに感じた。
「ひ、ひとりで帰れる?タ、タクシー呼ぼうか?・・・しゅ、終電もうないし・・・」
セージは気遣わしげに言葉を紡ぐが、俺はそれが腹立たしくてならなかった。
気遣われているのだと思うと、自分がよけい惨めに思えてくる。哀れでどうしようもない子どもに思えてくる。
「・・・いい」
「え、えっ・・・?」
「・・・うっせぇな。俺に構うんじゃねぇよ!」
「そ、そ、そっか・・・ご、ごめん・・・・」
俺はセージの腕を払いのけると、ズボンのポケットからスマートフォンをまさぐり、アイリスに電話をかけた
と、即座にアイリスが電話に出る。・・・こいつは俺がかけてくるのを寝ずに待っていたとでもいうのだろうか
少しおかしくなって喉の奥で嗤うと、俺は命令を下した。
「5分で迎えに来い」
『はい。わかりました。どちらにおいでですか?』
「テメーで察しろ」
『では、GPS機能を使わせていただいてもよろしいでしょうか』
「勝手にやれ。あ・・・そうだ」
「学校のやつがいっから、変なことすんなよ」
『・・・と、いうと?』
「フツーの先輩後輩のフリしろってことだよ!わかれよ・・・ったく!・・・いいな?」
「・・・わかりました」
店の外に出ると、冷たい風が火照った頬をくすぐり、心地よかった。
壁にもたれてアイリスの到着を待っていると、セージがすぐそばまで近寄り、同じように壁にもたれかかった。
「帰んないの?」
「えっ・・・え、と・・・し、心配、だから」
「・・・・俺は迎え来るからいいけど、あんた、どうすんの」
「ぼ、僕には、お、お兄ちゃんがいるから・・・」
「ふぅん」
兄がいるからどうしたというのか。迎えにでも来てもらうのだろうか
そう思ったが、深くは追及しない。こいつのことなんてどうでもいい。どうなろうが知ったこっちゃない
俺はこの男が__セージのことが嫌いだった
吃音がひどすぎて何を言ってるのかよくわからず、愚鈍でのろま。加えて、おどおどと卑屈な態度。
気に食わない。
俺が気に食わないから、周りもよってたかってセージをいじる。パシリにする
・・・こいつは何が楽しくて生きているんだろう
だけど俺はこいつを無視したりできなかった。のろまだ愚鈍だと苛々としつつも、つい声をかけてしまう。
・・・面影が、なんとなく、カモミールに似ているからだ
カモミール・・・・
あんなことがあってからもう何日も経っているのに、俺の心は宙ぶらりんのままだ
カモミールのことを考えると胸が痛くてしかたがなかった。もう、昔みたいにはできない。戻れない
そう思うと、心の奥底から虚脱感がむくむくと広がり、身体が沈み込みそうになる。
何のために生きているのか。それを俺がセージに言うのか。言えるのか
俺はどうなんだ
ナンノタメニイキテイルンダ
車のブレーキ音にはっと顔をあげると、見慣れた車からアイリスが降りてくるところだった
「あ、あ、お迎え?」
「・・・ああ」
セージがそばにいるとカモミールのことを思い出してしまう。
これ以上一緒にいたくなくて、アイリスのもとへ駆け寄ろうとすると・・・
アイリスは____俺の目を見てふわりと笑い、その場に跪いた。
「お待たせしてすみませんでした。わが君!」
「貴方をこんなに待たせてしまうだなんて・・・ああ、鳥肌がこんなに・・・・!わたくしは、しもべ失格でございます」
「罰を・・・罰を与えてください。この愚かなしもべに罰を・・・・陛下・・・・・」
アイリスはまるで舞台の上に立っているのかのように、仰々しくのたまい、俺の靴に口づけた。
「マ、マ、マ、マオく、ん・・・・こ、これは・・・い、いったい・・・・」
「・・・マオくん・・・・?」
俺は車に乗り込もうとするアイリスの腕を掴み、人気(ひとけ)のないところまで誘った。
アイリスはされるがままで俺に付き従う。路地裏に入り込むと、叩きつけるようにして腕を放した。
「どうしました?陛下。俺をこんなところに連れ込んで」
「座れ」
「えっ・・・・?」
「いいから、その場で、地べたに座れ」
俺は、相変わらず涼しい顔をしたアイリスに地べたで座るよう命令し
__顔を思い切り蹴りつけた
「っ!」
「てめぇ!ふざけてんじゃねぇぞ!!恥かかせやがって!!
「謝れよ!謝れって言ってんだよ!!カスが!ヒトをナメくさりやがって!!!」
髪を掴んで地面にこすり付け、靴で思い切り踏みつける
怒りで目の前が真っ赤になり、俺はアイリスを嬲った。感情が、こらえきれなかった「ぐっ・・・!はっ・・・・あ・・・・」
アイリスが喘ぐように息を吸う。俺は更に凶暴な気持ちになって脚に力を入れると・・・・
熱に浮かされたような声が幽かに聞こえてきた
「・・・踏んで、ください」
「俺を・・・・もっと・・・・・・踏ん、で・・・・・・・・」
しんと頭が冷え、ぞわりと肌が粟立つ。アイリスは頬を紅潮させ・・・・明らかに興奮している様子だった
「な、なんだよそれ・・・・あんた・・・・Mなのか?」
「俺はマゾではありません」
「な、どの口がそんなことっ・・・・」
「貴方だから踏まれたいのです」
突然のカミングアウトに戸惑う。と、同時に頭の中ですべてがつながった
どうしてこの男が今まで俺の無視や罵詈雑言に耐えられたのか。
俺が約束をすっぽかしても涼しい顔をしていられたのか
すべては、その性癖のため。この男は・・・・被虐趣味があったのだ・・・・
「そうか・・・俺がどんなに罵倒しても効かねぇはずだよ!ドMならご褒美だもんな・・・ハッ!マジで気持ちわりぃわ」
「俺がMかSかなんてどうでもいいじゃないですか」
「そんなことより・・・」
「あ?」
「もう、いいですか。許していただけましたか」
その感覚は急に訪れた。
アイリスの呻くような声。紅潮した頬。期待するように、縋るように俺を見つめる瞳。
この男の無様な姿を見ていると・・・なにか激しく、どろどろとしたものがこみ上げてきて・・・・
アイリスが俺のためにどこまでできるのか試してみたくなった
歪んだ顔がもっと見たい
血反吐を吐くほど追い込んで、赦しを乞わせ、這いつくばらせたい
それは歪んだ欲望だった
「・・・・ンだそれ?随分ナマイキな口調だな・・・赦してもらう立場のくせに」
「すみません」
「・・・じゃあ脱げよ」
「え」
「全裸になってこの場でオナニーしろ。そうしたら許してやる」
「ここで、ですか?」
「ああ」
「・・・・それは所謂、わいせつ物陳列罪にあたるのでは」
「は?だから?」
「だから何だよ!アンタの都合なんて知ったこっちゃねぇ!
「俺がやれって言ってんだよ!イエスかノーか!?アンタの台詞はそれだけだ!!」
「やんのか?やんねぇのか!?」
「・・・・わかりました」
そう言うとアイリスはジャケットに手をかけ、一枚一枚脱いでいった。
インナーを脱ぎ去り、ベルトを緩め、スラックスを下ろし、下着に手を這わせ・・・・一気にずり下げると
大きく逞しいものがすべて露わになり、俺は目を見張った。
驚いたことに、アイリスのペニスは・・・
赤く充血し、勃起していたのだ。
「えー?もうおったってるとかーマジ変態じゃん?さすがに身の危険感じちゃうわー」
俺がおもしろがってペニスを指ではじくと、アイリスは苦しそうに息を漏らした。
固く屹立した男根は見るからに張りつめ、少しの刺激でも崩壊してしまいそうだ
俺は固く握られたアイリスの手をとると、その男根へと導いた。
そうやって自慰するように促すと、アイリスは躊躇いながらも自分のものを扱き始めた
「はっ・・・・うっ・・・・・」
よほど余裕がないのか、その声はすぐに熱を帯び、色っぽいものに変わっていく
「はは。さすがにこういうときは仏頂面じゃねぇんだな。ウケる。
「いいぜ。そっちの顔のが全然いいじゃん」
そう言って口の端を歪めると・・・アイリスはびくりと震え、呻き声をあげた。
「んだぁ?声だけでイッちまったのか?だらしねぇなぁ・・・・・」
囃し立てるように顔を覗き込むと、劣情に満ちた熱い瞳とぶつかる・・・・アイリスはこちらを見ていた。
「ん、ぱ・・・い・・・・」
「せん、ぱい・・・・」
・・・こいつ、俺でヌイてやがる
いや、抜いているなんてもんじゃない
これは、視姦だ
俺の顔を、唇を、首筋を、服の下に眠る身体をじりじりと舐めるように、求めるように、夢見るように見つめ
ねっとりと、まるで服を一枚一枚剥ぎ取るかのように粘着質な視線・・・・
それはとても屈辱的なはずなのに、俺はたまらない気持ちになる
滑稽だったからだ
俺が罵倒するたびにびくびくと震え、呻き声をあげるアイリス
ペニスをびちゃびちゃにして快感に耽けるアイリス
よだれをたらしながら俺を視姦しようとするアイリス
ただ「どこまでできるか試したい。」そんなクソみたいな理由で
このようなことに陥っている。野外で醜態を晒す羽目に陥っている
なんて、愚かなのだろう
なんて、なんて、なんて・・・!
奴隷の痴態にどうしようもなく胸が熱くなり、脳が揺り動かされるほどのサディスティックな衝動が湧きあがる。
この男をもっともっと辱めたい
もっともっと無様に喘がせて、地の底に叩きつけたい
なにかしてやりたい
なにか、なにか、なにか、なにか、なにか、なにか!
その時、アイリスが幽かな声で、呻いた
「は、・・・うっ・・・先輩・・・・・で、そうです・・・・」
それを聞いた俺は
___俺は、大声で叫んだ
「変質者だ!ここに全裸の男がいるぞ!
「うわっ・・・!こいつ・・・丸出しじゃないか・・・・!!誰か!誰かーーーー!!」
「え・・・せん、ぱい・・・?」
「バッカじゃねぇの?」
瞬時に真顔になったアイリスを突き飛ばし、俺は一目散に駆け出した。
バッカじゃねぇの?バッカじゃねぇの?バッカじゃねぇえええのおおおお!!!?
ぎゃははははははははははははは!
アイツのあの顔!!顔!顔!顔!!
あんなマヌケなツラ初めてだぜ!ぁはっあはははははははは!!
バカだ!あいつ、あんな、全裸で!!ぎゃはははははははあはははあはは!!!!!
射精した後の様な快感が頭の中をかけめぐり、
俺は何かわけのわからないことを叫びながらただひたすらに走った
激しく火のように興奮していて・・・
自身がひどく張りつめ・・・勃起していることにまでは気づかなかった
「はぁ・・・・はぁ・・・・・笑いすぎたぜ・・・・」
「はは・・・あんなに笑ったの、やっべぇ・・・マジ、久しぶりだわ
「はぁ・・・」
爽快感に息を詰まらせ、喘ぐように空気を吸い込む。ただひたすらに呼吸をくりかえしていると
頭がだんだんとぼんやりしてきて・・・先ほどまでのことがすべて夢だったのではないだろうかと思えてくる
それほどまでに現実味のない出来事だった。
それもそうだ。あのアイリスを踏みつけ、罵倒し・・・自慰を強制するだなんて
SMビデオかなにかだろうか。
「はは・・・笑っちゃうわぁ」
ばかばかしくて、おかしくて、夢みたいで、笑ってしまう。俺はクスリと笑い、金網にもたれる。
さて、これからどうしようか。誰か遊んでくれる男でも捕まえて朝まで愉しもうか
ゆるゆるとそんなことを考えていると
「そうですか」
「それは、光栄です。陛下」
静かな声に血の気が引く。即座に声のする方を振り返ると
暗がりに紛れるかのようにして・・・・全裸のアイリスが超然と佇んでいた。
「・・・・!あ、アンタ・・・」
「俺の滑稽な姿を見ることで
「陛下が少しでも笑顔になれるのなら、こんなに嬉しいことはありません」
「逃げ延びたのか・・・」
「ええ。」
「それにしても、驚きました。まさか貴方があんなことをしてくるだなんて
「想像もしていませんでしたから。」
「・・・怒って、いるのか・・・・」
「怒る?」
「とんでもございません!
「いつも予想の斜め上をいかれる・・・陛下!貴方は本当に面白い方ですね。感動いたしました!
「ああ、貴方はやはり最高だ!好きだ、好きだ、好きだ、好きだ!ああ・・・愛しています!」
そう言ってアイリスは破顔した。
まるで観客に語りかけるストーリーテラーのように、両手を広げて俺に語りかける男はすごくしあわせそうで・・・・
恍惚として見えた。
「それでは、続きをいたしましょうか。陛下」
「ああ、いいぜ?」
しかしそんなアイリスの様子なんて全く気にならなかった。
俺ももっともっと、続きが・・・アイリスの歪んだ顔が、見たかったのだ。
俺ももっともっと、続きが・・・アイリスの歪んだ顔が、見たかったのだ。
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